ベランダ読書と旅の思い出。
図書館で借りた「旅ドロップ/江國香織」をベランダで読んだ。
旅行は滅多にしないからか旅行エッセイは好き。ベランダで風を感じながらの読書ははじめてで、私としてはこれがちょっとした旅みたいな感覚だった。
今まで暮らしてきた家にはベランダが無かったり、あっても狭いし道路に面しているしで人通りを気にしてゆったりなんかできなかったからこうやってベランダで太陽の光で読書ができてしまうなんて思ってもいなかった。
ベランダに出るたび去年行ったオーストラリアのエアーズロックリゾートを思い出す。新婚旅行で行った。
夫は異動でくたびれて、エアーズロックを案内してくれるツアーの時以外ずっとホテルで寝ていた。
方向音痴な私は一人で出かけるのが怖くて、でも部屋に篭りきりはもったいなくてベランダで過ごした。
ベランダで過ごす、というのを人生ではじめて体験したと思う。
暑かったけど、屋根があったから過ごしやすかった。
鳥の声や風の音を聞いた。遠くを走る車をぼんやり眺めた。餌をもらいに鳥が来たけどあげていいものか分からないから何にもあげないでいたらそのうちいなくなっていた。
ベランダで過ごすのにも飽きて、そのうちリゾート内を散策したりしたんですけどそれがすごく楽しくて。
今の家のベランダに出て、最近買ったキャンプ用の椅子に腰掛けるとその時のことをいつも少しだけ思い出します。
去年行ったばかりだからかな。でもずっとこうやって思い出したいな。
そんな旅の思い出に浸れる場所で、なんとなく部屋が薄暗くなってきたから。なんて理由で読みはじめた旅エッセイ。
相性抜群でした。あー面白い。
私は江國香織さんのようにたくさん旅行に行ったり、旅行先であちこち行けるような行動力もないけれど。そのかわりにこうやって読めるのが本当に面白い。
私の中でベランダが知らないうちに大切な場所になろうとしているんだなーと、気がつきました。